「なぜあんなに抑えられるの?」
プロ野球ファンならば一度は疑問に思ったことがある、オリックス・バファローズの宮城大弥投手。

身長171cmと決して大柄ではない左腕が、なんで強打者たちを抑えられるのか気になるよね。
2024年シーズンの詳細データと専門家の分析を基に、その謎を徹底解明してみました。
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オリックス宮城大弥のプロフィール
宮城大弥(みやぎ ひろや)は2001年8月25日生まれ、沖縄県宜野湾市出身の23歳。
興南高校から2019年ドラフト1位でオリックス・バファローズに入団した左投左打の投手です。
高校時代から注目を集めていた投手ですが、プロ入り後の成長ぶりは専門家も驚くほどです。
身長171cm、体重79kgという体格は、現代のプロ野球投手としては決して恵まれているとは言えません。
しかし、この「小柄な左腕」こそが、打者にとって最も厄介な存在となっています。
オリックス宮城大弥2024年シーズンの成績
2024年シーズン、宮城大弥は多くの打者を絶望の淵に追いやりました。
その成績を詳しく見てみましょう。
項目 | 成績 | リーグ順位 |
---|---|---|
防御率 | 1.84 | – |
勝利数 | 7勝9敗 | 16位 |
奪三振 | 139 | 7位 |
投球回 | 141回2/3 | – |
被打率 | .219 | – |
WHIP | 0.97 | – |
特に注目すべきは防御率1.84という数字です。
これは先発投手としては驚異的な数値であり、打者がいかに得点を奪うことに苦労しているかを物語っています。
簡単に言うと宮城選手が投げれば2点取れない。ということです。
左右打者別成績の格差
宮城大弥の真価は、左右打者別の成績を見るとより明確になってきます。
2024年シーズンの対戦成績は以下の通りです。
対戦相手 | 被打率 | 対戦打数 | 被安打 | 被本塁打 |
---|---|---|---|---|
右打者 | .223 | 130 | 29 | 3 |
左打者 | .154 | 52 | 8 | 0 |
左打者に対する被打率.154という数字は、もはや異次元の領域。

左バッターは打席に立ちたくないやろな~(笑)
同じ左投手対左打者という対戦でありながら、これほど圧倒的に抑え込めるのは、宮城選手独特の投球術にその秘密があると考えています。
オリックス宮城大弥の独特な投球フォームが生み出すタイミングの狂い
高校時代から注目していましたが、宮城投手が打ちにくいポイントは独特なフォームにあります。
それでは見ていきましょう。
こちらから投球が見れます▼
変則的なアームアングルとリリースポイント
宮城大弥が打者から「打てない」と言われる最大の理由の一つが、その独特な投球フォームにあります。
MLBの投球分析専門家「ピッチングニンジャ」も、宮城の魅力について次のように分析しています。
「多分、ファンにしてみれば、なぜ打てないんだ?と思うかもしれない。しかし、打席に立ってみないと、宮城の本当の良さは分からないのではないか」
- インステップからの投球・・・一塁側にインステップして踏み出すフォーム
- スリークォーター気味のアームアングル…独特な腕の角度での投球
- 変則的なタイミング…セットポジションから足を上げ、一度下げてから再度上げ直す動作
- クロスファイヤーの角度…利き腕とは対角線上のコースへの投球が際どく決まる
打者のタイミングを狂わせる「間」の作り方
元オリックスのエース星野伸之氏は、宮城の投球について以下のような分析をしています。
「宮城には素晴らしいクロスファイヤーがあり、緩急とフォームにより、相手のタイミングを交わす術に長ける」

この「タイミングを交わす術」こそが、宮城が打者を翻弄する核心部分です。
打者は通常、投手の腕の振りとリリースポイントを基準にタイミングを合わせますが、宮城選手の場合はその基準となる動作が一般的な投手と異なるため、打者が慣れ親しんだタイミングの取り方が通用しません。
オリックス宮城大弥の球種構成と投球術
宮城選手は素晴らしい投球術を駆使しバッターを打ち取っていきます。
その宮城選手の球種構成と投球術について触れていきます。
多彩な球種と驚異的な球速差
宮城選手の持ち球は非常に多彩であり、その組み合わせが打者を困惑させています。
2024年シーズンの球種別データを見てみましょう。
球種 | 投球割合 | 平均球速 | 最高球速 | 被打率 |
---|---|---|---|---|
ストレート | 47.0% | 147.0km/h | 155km/h | .239 |
スライダー | 29.4% | 126.5km/h | – | .231 |
カーブ | 14.8% | 90km/h台 | – | – |
フォーク | 8.5% | 135.2km/h | – | – |
チェンジアップ | 5.0% | 122.7km/h | – | – |
注目すべきは最高球速155km/hのストレートと90km/h台のカーブとの球速差です。
この65km/h以上の球速差は、打者のタイミングを完全に狂わせる要因となっています。
2024年シーズンの投球スタイル変化
2024年シーズン、宮城選手は従来の緩急重視の投球から、より直球中心の攻めへとスタイルを変化させました。
- ストレートの投球割合を55.4%まで増加
- カーブやチェンジアップなど緩い変化球の割合を減少
- 平均球速が147.0km/hまで向上
- ストライク率の向上と制球力の安定
この変化により、左打者に対する成績が劇的に向上し、被打率.154という驚異的な数字を実現しました。
オリックス宮城大弥をデータで見ると圧倒的な制球力
オリックス宮城大弥をデータで見ると制球力の高さが伺えます。
それでは見ていきましょう。
K/BB率(奪三振対四球率)の優秀さ
投手の制球力を測る重要な指標の一つがK/BB率(奪三振数÷与四球数)です。
宮城大弥の2024年シーズンのK/BB率は以下の通りです。
- 全体のK/BB率:6.32(139奪三振÷22与四球)
- 左打者対戦時K/BB率:7.5(パ・リーグ1位)
- ストライク率:80%以上を維持
この数値は、宮城大弥がいかに無駄な四球を与えずに打者と勝負しているかを示しています。
制球力の良さは、攻めの投球を可能にし、結果として打者にとって「打ちづらい投手」になります。
状況別成績の安定感
2024年シーズンの状況別成績を見ると、宮城大弥の安定感が際立っています。
状況 | 防御率 | 被打率 | 特徴 |
---|---|---|---|
デーゲーム | 0.33 | .183 | 4勝0敗 |
ナイター | 2.79 | .241 | 3勝9敗 |
ホーム | 1.45 | .207 | 京セラドーム得意 |
ビジター | 2.27 | .231 | やや苦戦 |
特にデーゲームでの防御率0.33という数字は、もはや別次元の投球です。
これは対戦した打者たちがほとんど得点を奪えなかったことを意味しています。
オリックス宮城大弥を専門家が分析する「打てない理由」
オリックス宮城大弥についてデータを見ながら解説してきました。
次に元プロ野球選手など野球の専門家の分析を見ていきたいと思います。
元プロ野球選手の証言
多くの元プロ野球選手や指導者が、宮城大弥の投球について分析しています。
その中でも特に興味深いのが、実際に打席に立った経験を持つ選手たちの証言です。

「実に興味深い投手だ。球速はそれほど速くないが、打席に立ってみると全く違う。フォームとリリースポイントが独特で、ボールの軌道が読みにくい」(MLB関係者)
中日・石川昂弥が語る攻略の難しさ
興味深いことに、宮城に対して比較的好成績を残している中日の石川昂弥選手でさえ、その攻略の難しさを語っています。
「宮城投手のフォームやボールの質と、自分のタイミングの取り方がたまたま合うだけ。それでも毎回苦労する。一般的には非常に打ちづらい投手だと思う」
星野伸之が指摘する技術的側面
元オリックスエースの星野伸之氏は、宮城の技術的な優秀さについて分析をしています。
- クロスファイヤーの精度:対角線上への投球が極めて正確
- 変化球のキレ:特にスライダーとカーブの曲がりが鋭い
- 投球フォームの一貫性:どの球種でも同じフォームから投げられる
- 配球の巧妙さ:相手打者の特徴を考慮した組み立て
オリックス宮城大弥にメジャー関係者も注目
日本球界トップレベルの宮城大弥選手にメジャー関係者も注目しているようです。
MLB関係者の評価
近年、MLBのスカウト陣も宮城大弥に注目しています。
その理由は単純な球速やパワーではなく、「野球の本質的な部分での優秀さ」にあるとの事。
「宮城は身体能力的に凄いとは思わないが、気づいたらアウトを重ねている。野球において一番大事な要素だ」(MLBアナリスト・フリードマン氏)
国際舞台での実績
2023年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では、宮城は侍ジャパンの一員として世界一に貢献しました。
国際舞台でも通用する投球技術は、今後更に注目を浴びるでしょう。
オリックス宮城大弥への期待と展望
オリックス宮城大弥選手への期待は日々高まるばかりです。
今後もファンを喜ばせてくれることでしょう。
背番号18への思い
2025年シーズン、宮城は新たに背番号18を背負うことになりました。
この番号は、山本由伸(現ドジャース)が3年連続投手4冠を達成した際に着用していた番号です。
山本由伸の後継者として期待される宮城ですが、既に岸田護新監督からは開幕投手に指名されるなど、信頼は絶大です。
さらなる進化の可能性
宮城大弥はまだ23歳です。
現在の技術レベルでも十分に一流ですが、今後の成長によってはさらに厄介な存在になっていくことでしょう。
- 球速のさらなる向上:155km/hを超える球速の安定化
- 新球種の習得:投球の幅をさらに広げる可能性
- 投球技術の精密化:既に高い制球力のさらなる向上
- メンタル面の成熟:エースとしての責任感の向上
オリックス宮城大弥はなぜ「打てない」のか~まとめ~
これまでの分析を通じて、宮城大弥が「打てない投手」である理由が明確になりました。
その要因を改めて整理するとこのようになります。
- 独特な投球フォーム:打者のタイミングを狂わせる変則的な動作
- 驚異的な緩急差:65km/h以上の球速差による時間軸の錯乱
- 精密な制球力:K/BB率6.32という圧倒的なコントロール
- 多彩な球種:5種類の球種を効果的に組み合わせる技術
- 左右別の攻め方:左打者.154、右打者.223という圧倒的な成績差
- 状況対応力:場面に応じた最適な投球選択
- 配球の巧妙さ:相手打者の特徴を熟知した組み立て
- 勝負勘の鋭さ:ここぞという場面での決め球の精度
- プレッシャーへの強さ:重要な場面でも崩れない精神力
- 自信に満ちた投球:迷いのない積極的なアプローチ
- 研究熱心さ:常に技術向上を目指す姿勢
宮城大弥という投手は、現代野球において「技術」「戦術」「メンタル」のすべてが高次元で融合した、まさに理想的な投手の一つの完成形と言えます。
身長171cmという体格のハンディを、卓越した技術と戦術で完全に克服し、むしろそれを武器に変えている投手です。
宮城大弥の投球を見る際は、単なる球速や球種だけでなく、その奥にある緻密な計算と高度な技術に注目してみてください。